ニュートリノは素粒子の一種ですが、その基本的な特性はまだ完全には解明されていません。1970年代から現在に至るまで、素粒子の標準理論ではニュートリノは質量を持たないとされて来ました。しかし、1998年にスーパーカミオカンデ実験により、ニュートリノが有限質量を持つ初めての実験的証拠が示されました。この証拠はニュートリノ振動と呼ばれる現象の精密観測に基づいた結果でした。その後、ニュートリノに関する理論的・実験的研究は注目され、現在でも世界中で活発な研究が行われています。日本は、ニュートリノ振動の実験的研究分野で、スーパーカミオカンデ実験、K2K実験、カムランド実験、T2K実験などを通して、これまで世界をリードし続けてきました。
現在、ニュートリノは、素粒子の標準模型を超えた「大統一理論」やさらにその先の「究極の理論」への足掛かりとしてのみではなく、物質優勢宇宙創成の謎を解明する重要な手がかりの1つとしても注目されています。
本研究室では、スーパーカミオカンデ実験、 T2K実験、ハイパーカミオカンデ実験を通して、ニュートリノの基本特性を究明し、宇宙の創成・発展や自然の究極の理解に貢献することを目指して、ニュートリノの実験的研究を推進しています。