研究内容
極微量ラドンの測定技術の開発研究
ラドン(222Rn)は半減期3.8日の放射性希ガスです。通常の屋外の空気中にも1から10ベクレル/立方メートル(Bq/m3)程度の濃度で存在します。坑内や地下では特に濃度が高くなる場合があり、例えば神岡の坑内では1000Bq/m3程度の濃度になることがあります。 222Rnの娘核種には最大エネルギー3.27MeVのベータ崩壊をする214Bi等が存在し、これらが実験装置の内部に混入するとMeV領域でのバックグラウンド事象になります。地下は宇宙線バックグラウンドを大幅に減らせるのですが、ラドン濃度が高くなる場合があるため、ラドンによるバックグラウンドを抑えるためにラドンに対する防護やラドンの削減とモニターは必須です。このような技術は全ての低エネルギー精密物理実験の共通の重要なトピックです。近年、ラドンに関して世界中の主要な地下精密物理実験グループ間で、活発な情報交換や技術交流が行われています。
我々のグループは、純水中および空気中の222RnをmBq/m3程度までリアルタイムに測定できる検出器を開発しました。このラドン濃度測定器を使いスーパーカミオカンデのバックグラウンド源の研究を行ってきました。またこの検出器とそれを元に開発した検出器は他の国内外の研究機関の精密物理実験グループで使用されています。
現在、希ガス中の残留ラドン測定に関して研究を進めています。これまでに純アルゴン中のマイクロベクレルレベルのラドン測定手法に関して開発を行いました。今後は主にキセノンガス中のラドンモニター及び削減に関して研究を進めるつもりです。
論文、研究報告
- “気体アルゴン中ラドンの吸着脱離実験と極低レベルラドン濃度測定方法の開発”, RADIOISOTOPES,59 (2010) 29-36,池田一得、外間智規、田阪茂樹、竹内康雄
- "Development of Super-high Sensitivity Radon Detector for the Super-Kamiokande Detector" Nucl. Instr. and Meth. A497 (2003) 414-428 C.Mitsuda, T.Kajita, K.Miyano, S.Moriyama, M.Nakahata, Y.Takeuchi, and S.Tasaka
- "Radon reduction and monitoring in Super-Kamiokande" Radon background in rare-event experiments workshop, Sudbury, June 14, 2000
nu2000.pdf
- "Radon background in the Super-Kamiokande" Poster presentation at NEUTRINO'98, Takayama, June, 1998
nu98.pdf
- "Measurement of radon concentrations at Super-Kamiokande" Phys. Lett. B452 (1999) 418-424 The Super-Kamiokande Collaboration, Y.Takeuchi et al.
- "Development of high sensitivity radon detectors" Nucl. Instr. and Meth. A421 (1999) 334-341 Y.Takeuchi, K.Okumura, T.Kajita, S.Tasaka, H.Hori, M.Nemoto and H.Okazawa
- "スーパーカミオカンデでのラドン測定" 日本物理学会1998年秋の分科会(秋田大学)、1998年10月
akita.pdf
- "Super-Kamiokandeでの太陽ニュートリノ観測とラドン測定" 極低放射能バックグラウンド環境下における科学とその展望ワークショップ (大阪大学核物理研究センター)、1998年3月
- "Development and calibration of a high sensitive radon detector in air" Poster presentation at The 7th Tohwa University International Symposium, October 1997 M.Nemoto, S.Tasaka, H.Hori, K.Okumura, T.Kajita, Y.Takeuchi, and H.Okazawa
- "RADON REDUCTION AND MEASUREMENT AT SUPER-KAMIOKANDE" Radon workshop in SNO, Sudbury, August 1996
メンバー
関連する研究